~カイルの小冒険その22~ コメントを残す 「失礼を致しました。お怪我はございませんか?」 メイドが手を差し伸べて引き上げてくれました。さっきの女の人はぷりぷりしながら留めてあった馬車にさっさと引っ込んでしまいました。助けてくれたお礼を言うカイルの顔を、彼女は何故かじっと見つめています。カイルがどきどきしていると、 「…妹も貴方の御手を煩わせてしまうと存じますが、その時はどうぞ、御力を御貸し下さいませ……」 意味深な囁きを残して、メイドさんも行ってしまいました。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その21~ コメントを残す 「ほほほほほっ、ようやく捕まえたわ!もう逃がさないわよ!!」耳をつんざく様な高笑いと共に女の人が穴を覗き込んできました。 「…あら?随分と縮んでしまった様に見えるけれど……」「いいえ、これは人違いだと思われます」 女の人の後ろに控えているメイドが適切なツッコミを入れてくれました。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その20~ コメントを残す ずんずん歩いていると、突然カイルの足下が崩れ落ちました。落とし穴です!! とっさに壁に爪を突き立てたので穴の底まで落ちることは免れました。さすが子供とはいえ吸血鬼の膂力です。そうでなければ、今頃カイルは滅びていたかもしれません。だって、 穴の底には、びっしりと突き立てられた白木の杭がこちらへ鋭い先端を向けているのですから。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その19~ コメントを残す でも、とカイルは思い直しました。カイルが知ってるその人は長い髪でしたし、それになにより 「おー、カイル、久しぶりだな」 こんなキャラではありません。そうです、彼の兄はギャグキャラでは無いはずです。 会わなかった事にして、カイルは足早にその場を立ち去る事にしました。 「あ、いいのか?そっち行くと…」 彼が何か言っていた様ですがカイルは無視してしまいました。いけませんね、あの人が意味深な事を言う時は必ず何かあるのですよ…。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その18~ コメントを残す そんなカイルの前に、ふわりと闇が舞い降りました。月が翳ったのかと思いましたが、いいえ、違いました。 それは、目の前に立っている男の人のコートでした。夜の闇よりなお暗い色をしたコートをまとったその人は、ようやく足下で見上げているカイルに気付いた様です。じっと見下ろす黄金色の瞳は吸い込まれそうな美しさです。 この男の人と同じ髪と瞳の色、そして同じ顔をした人をカイルは知っています。まさか…… クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その17~ コメントを残す 「由美、探したわよ!」 木陰から現れた女の人に呼ばれて、おねぇさんは駆け寄って行きました。「お姉ちゃん!」とても嬉しそうです。 そう言えば自分にもお兄さんがいた事をカイルは思い出しました。でも、こんな風に仲が良いわけではありませんが。 カイルはそっとその場を離れて歩き出しました。またひとりぼっちです。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その16~ コメントを残す ひとりぼっちじゃなくなってちょっとだけ気持ちに余裕が出てきたカイルは、このおねぇさんをおどかしてやろうと言うイタズラ心を起こしてしまいました。 「ほらほらー、ボク、吸血鬼なんだぞ」 と牙を見せてみましたが、おねぇさんの反応はイマイチです。 「夜の学校に比べたらこんな世界なんてぬるいわ」 この人もなかなかの修羅場をくぐっている様です。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その15~ コメントを残す 声の主を、木の反対側に見つけました。どうやらこの女の人も道に迷ってしまったらしいです。 一人よりは二人の方がいいので、カイルとその人は一緒に道を探すことにしました。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その14~ コメントを残す いつの間にか森の奥深くまで来てしまいました。おうちへの道ももう分かりません。カイルは急に心細くなってしまい、木の根本に座り込みました。やっぱり母上様の言うことを聞いて家から出るのではなかったとカイルは泣きたくなりました。 「…シクシクシク……」 ところが、カイルが泣く前に、どこからか啜り泣く声が小さく聞こえてくるではありませんか。なのに、辺りを見回しても誰もいません。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook
~カイルの小冒険その13~ コメントを残す 突然二つの風を切る音がしてカイルの頭上で白い光と硬い音が弾けました。 ひとつは目の前の男の人が再び抜いた剣、そしてもうひとつは・・・・・・ 「チッ、ガキかよ」 目つきの悪い男がカイルを睨み付けていました。片手には嫌な感じのする剣を握っています。 「いきなり何するんだ」 黒髪の男の人が怒鳴りましたが、相手は聞いていない様です。 「ま、吸血鬼には違いない。おい坊主、このガキ置いてとっとと行きな」「ふざけるな。子供相手に何する気だよ。おい、何だかやばそうだ。お前は今の内に自分の家へお帰り」「待てこのガキ!」 男の人達が打ち合っている隙に、カイルはほうほうの体でその場から逃げ出しました。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook