木陰から現れた女の人に呼ばれて、おねぇさんは駆け寄って行きました。
「お姉ちゃん!」
とても嬉しそうです。
そう言えば自分にもお兄さんがいた事をカイルは思い出しました。
でも、こんな風に仲が良いわけではありませんが。
カイルはそっとその場を離れて歩き出しました。
またひとりぼっちです。
「「この私の目を盗んでボールを持ち出すなんて、いい度胸してるわね」
どうやらカイルがボールを取ったと思っているみたいです。
慌ててカイルは、半泣きになりながら女の子が落としていったものだと説明しました。
「・・・・・・・・・・ふぅん、わたしの仕業だったの」
よく分かりませんが、おねぇさんはどうやら納得してくれたみたいです。
あの女の子を知っているみたいです。
「ボールを取り返してくれたお礼に、これをあげるわ。拾ったものだけど、きっと役に立つでしょう」
ボールと引き替えに、カイルは一枚の紙を貰いました。
それは二人の絵…いいえ、二人の女の子が写った写真です。
「これはだれ…」
カイルが再び顔を上げた時、目の前にいたはずの女の人の姿は影も形もなくなっていました…」