「願いは叶えたっ。じゃーね!」
口元をぬぐうと、女の人は笑いながら森の奥へと去って行きました。
「…まだ取れてなかったけどなぁ」
見送るカイルの前に、その女の人がくるりと戻って来ました。
何故か地響きも聞こえます。
「ぎゃああああ出たぁぁぁぁぁ」
女の人の叫びと共に、森が揺れました。
見たこともないモンスターを連れて!
「こんなところに落ちてるワケないわよね~…」
うなだれてる女の人を改めて見て、ああ、やっぱりそうだ、とカイルは思いました。
長い黒髪の女の人に貰った写真に写っている人です。
よくよく見れば、写っているもう一人は先ほど迷子になっていた妹と再会した人でした。
「あの……」
気になってカイルは声をかけてみました。
「うん?どうしたの坊や・・・・・・って、あああ!それっ!!その写真!!」
カイルが手に持っていた写真に気づいた女の人の顔がみるみる晴れました。
どうやらこの写真が捜し物だった様です。
「ありがと~!お礼に新発売の大判焼きをあげるわ。冷めても美味しいから」
写真を受け取ったお姉さんはニコニコ笑顔でカイルに茶色いお菓子(?)を渡し、去っていきました。