ひとりになって、カイルはぶるっと身を震わせました。
何だか急に冷えてきた気がします。
「ねえ、魔法使いさんを知ってる?」
また知らない女の子が現れました。
温かそうな服に身を包んでいます。
「綺麗な金の髪と眼のね、夜空みたいに真っ黒なコートを着てて、とっても素敵な魔法を使うの」
その風貌が当てはまる人物に、カイルとしては心当たりが無いわけでも無いのですが、
「ピアノも弾ける様になったし、絶対お嫁さんにして貰うんだから!」
年齢差があり過ぎます。
おそらく人違いでしょう。
カイルが首を横に振ると、少女はそう落胆した様子も無く、律儀にお礼を言って何処かへと行ってしまいました。