月別アーカイブ: 2017年9月

カイルの小冒険44

散々走り回り、さしもの吸血鬼も息を切らせて立ち止まりました。
恐る恐る振り返りましたが、どうやら猫も狼もうまく撒けた様です。
カイルは安堵の息をつきました。

「あぁら、可愛いお坊ちゃま♪」

目の前の声に慌てて顔を上げると、白い刃が煌めきました。

「いい身なりですこと。哀れな貧民に、何か金目のものをお恵み下さいません?」

笑顔だけれど、目は笑っていません。
今夜会う女の人達って怖い人ばかりな気がします。

カイルの小冒険43

「じゃあ僕はこの辺で失礼します」

カイルは二頭に挨拶をして、くるりと背を向け、その場から走り出しました。

ところが、どうしたことか黒猫がついてくるではありませんか!
当然のなりゆきで、黒猫を追って狼までもが追いかけてきました!

子供とは言え、夜の吸血鬼です。
並の相手では追いつけない筈ですが、この二頭はタダモノでは無かったみたい。
余裕でついてきています。

「やっぱりおうちを出るんじゃ無かった…!」

今夜何度目かの後悔を噛みしめながら、カイルはひたすら森の中を駆け回りました。