「やだ、ごめんなさい。こんなところで魔力を感じたからてっきりマーヤだとばっかり…」
後から現れた黒髪のおねえさんが話す途中で、白髪のおねえさんが遮りました。
「あたしの小瓶をよくも…!あなた、この吸血鬼の坊やの護衛ってわけ?」
いきなり怒鳴りつけられて、黒髪のおねえさんはむっとした顔をしました。
「何の事?よく分からないけど、何かを壊したのは今謝ったじゃない。本当ならあなたが凍り付いてる筈だったのに」
さらりと危険な事を言っています。
「やっぱり敵か。あんたも術を使うみたいだけど、吸血鬼を封じる魔力を舐めないで貰いたいわね」
「はあ?ますます分からないけど喧嘩売ってるって事でいいのかしら」
とても険悪な雰囲気です。
「アムワスの血と契約に応えよ。オド・ソド・リラ…」
「魔力増幅呪文…!」
女二人の強力な魔力の奔流に飛ばされる様に、カイルはその場から遠く放り出されて行きました。