「いや、捨てられたワケじゃ…」
言いかけて、カイルは気付きました。
(この子、目が…)
「帰る家が無いのなら、わたしと来る? お父様がそこまでお迎えに来てくれてるの」
そう話す少女の背後から、何故か遠く重い地響きがしてきます。
「ありがとう。でも僕も帰るところだから」
何だか怖い予感がするし、だいたい帰る家もあるので、カイルは断りました。
「そう。気をつけてね。森は優しいけれど、怖い時もあるから」
既に散々怖い目に遭ってます。
いや、それも森のせいだけじゃ無いけど。
そしてカイルは、危なげない足取りで森の奥へと消えていく少女を見送りました。