カイルの小冒険」カテゴリーアーカイブ

カイルの小冒険38

目の前の涙にカイルがどうしようとオロオロしていると、歌が聞こえてきました。
透き通った声の、とても綺麗な歌です。
カイルの小冒険

声の方を見ると、白い女の人が歌っていました。

カイルの小冒険37

「…でございますか?」

遠くで呼ばれてる声がして、カイルが目を開けると目の前にはメイドがいました。
「カイル様、ご無事でございますか?」
でも、館で見かけていない知らない少女です。
カイルが目を開けたのを見て、彼女はぽろぽろと涙を流しました。

カイルの小冒険37

「……?何故でしょう……カイル様がご無事で嬉しいのに、私はどうして……」

~カイルの小冒険その36~

意味ありげな言葉にカイルが戸惑っていると、

「お戻り下さい、カイル様」
静かな声が響きました。
再度カイルが振り向くと、

長い漆黒の髪をした女の人が、同じ色の猫を抱えています。

「この夢は貴方のためのものではありません。さあ、こちらへ」

カイルがどうしようと思っていると、ぐにゃりと世界が歪みました。

~カイルの小冒険その35~

「あなたはだあれ?」

振り向くと、長い髪の少女が優しく微笑んでいました。
「ふふ、いらっしゃい小さなお客様」

「…だけど不思議ね。髪も目の色も全然違うのに、あの人にちょっぴり似ている気がするわ」

~カイルの小冒険その33~

「・・・そこにいるのは誰だい?」
気配を感じたのでしょうか、黒髪の人がこちらを向きました。

「きみは・・・」
「あなたは・・・!」

二人の視線が合った途端、カイルは眩い光に包まれました・・・・・・。

~カイルの小冒険その32~

「ラルク兄さん、待って下さい」

館からもう一人出てきました。

黒い瞳と、長く黒い髪。
そして黄金の髪の男の人を『ラルク兄さん』と呼んだその人は、何故だかどことなく懐かしい感じを覚えます。
この人は・・・・・・?

~カイルの小冒険その31~

「いたた・・・」
どうやらしばらく気を失っていたみたいです。
カイルはズキズキする頭をさすりながら起き上がりました。
ここはどこでしょう?
目の前には知らない建物があり、その庭に倒れていた様です。
その時、誰かがこちらへやって来る気配がしたので、咄嗟にカイルは傍の木の陰へ隠れました。
現れた細い影から金の光が舞いました。

長い黄金色の髪と・・・それと同じ色に輝く眼。
そして横顔でも吸い寄せられる美貌。
それはカイルのよく知っている人のものでした。
思わず飛び出して声をかけようとして、

~カイルの小冒険その30~

「やだ、ごめんなさい。こんなところで魔力を感じたからてっきりマーヤだとばっかり…」
後から現れた黒髪のおねえさんが話す途中で、白髪のおねえさんが遮りました。
「あたしの小瓶をよくも…!あなた、この吸血鬼の坊やの護衛ってわけ?」
いきなり怒鳴りつけられて、黒髪のおねえさんはむっとした顔をしました。
「何の事?よく分からないけど、何かを壊したのは今謝ったじゃない。本当ならあなたが凍り付いてる筈だったのに」
さらりと危険な事を言っています。

「やっぱり敵か。あんたも術を使うみたいだけど、吸血鬼を封じる魔力を舐めないで貰いたいわね」
「はあ?ますます分からないけど喧嘩売ってるって事でいいのかしら」
とても険悪な雰囲気です。

「アムワスの血と契約に応えよ。オド・ソド・リラ…」

「魔力増幅呪文…!」

女二人の強力な魔力の奔流に飛ばされる様に、カイルはその場から遠く放り出されて行きました。

~カイルの小冒険その29~

「何よ、まだ子供じゃない。…だからと言っても吸血鬼は吸血鬼ですものね」

女の人は冷たい声と表情のまま、小瓶を取り出しました。

「見逃すわけにはいかないわ。悪く思わないで頂戴」

小瓶をこちらに向けながらブツブツと何やら呟いています。
その途端、カイルの背を悪寒が走り抜けました。
いけません、これはとても危険な感じがします。

「凍結魔法!!」

逃げなきゃ、と思ったカイルの目の前で、突如冷気が迸ったかと思った次の瞬間
女の人が掲げた小瓶が凍り付いて砕け散りました。

「マーヤ!こんなところで何やって・・・・・・あら?」

森の奥から、また別の女の人が現れました。

~カイルの小冒険その28~

「あ・・・・・・」

何とか化け物からは逃げられた様ですが、女の子ともはぐれてしまった様です。
走って乱れてしまった息を整えようとカイルがその場に立ち止まると

「見つけたわ、吸血鬼」

冷たい声が聞こえました。