投稿者「Fuki Aizawa」のアーカイブ

カイルの小冒険46

「いや、捨てられたワケじゃ…」

言いかけて、カイルは気付きました。

(この子、目が…)

「帰る家が無いのなら、わたしと来る? お父様がそこまでお迎えに来てくれてるの」

そう話す少女の背後から、何故か遠く重い地響きがしてきます。

「ありがとう。でも僕も帰るところだから」

何だか怖い予感がするし、だいたい帰る家もあるので、カイルは断りました。

「そう。気をつけてね。森は優しいけれど、怖い時もあるから」

既に散々怖い目に遭ってます。
いや、それも森のせいだけじゃ無いけど。

そしてカイルは、危なげない足取りで森の奥へと消えていく少女を見送りました。

Light.VN

ずっと吉里吉里2を使って来たけれど、最早いつまで動作するか分からないし
3は絶望的だし吉里吉里ZはKAGに頼りたい層を切り捨てだし、てことで、
他のゲームエンジンに挑戦してみることにしました。

で、選んだのが評判の良さ気なLight.VN

【良い点】
・リアルタイムプレビューが便利。画像位置の調整とかテキストとかすぐ確認出来るのが有り難い。
・フォントの指定が簡単。
・サンプルが親切。ソースにコメントで説明がされてる。
・ユーザーwikiがある。

【引っかかった点】(吉里吉里からの乗り換えユーザーとしての視点)
・サンプルのソースをきちんと読まないと積む。
(Light.vn入門を参照するだけではダメ。テキスト枠が出なかったりテキストのクリックが効かなかったりとかで結構な時間悩んだ)
・レイヤやフェードインアウトの概念が吉里吉里とは全く違う。同じレイヤ番号指定しても上書きはされないんよ。
・クリッカブルマップや画像の切り抜きは出来ない。

リメイク版学校七不思議は吉里吉里で9割出来ているけれど、こんな問題もあるしでLight.VNで出した方がブラウザでスマホでも出来るし現在も更新しているエンジンだから将来性もあるし……と考え、申し訳ないけれど公開は延期します…。

今は練習のため、短編の「Rose of the Night」をLight.VNに移植作業中だけど、まだまだ使いこなすにはほど遠い状況だったり(‘A`)

しかしクリッカブルマップ使えないと、ボタンで代用するしかないのかな。

痛恨のミス

こちらの更新は久しぶり。
最近はCi-enの方で書いたりしてたので。

で、「学校七不思議」シリーズを今まで制作公開してて、今更ながら気付いた致命的なミス。
シナリオテキストは明朝体で指定していて、自分の環境でもその様に表示されてたので
何の疑問も持っていなかったのだけれど、うちのゲームをレビューして下さってる記事を見て、
ようやく気付けた。

自分の環境以外だとゴシック体になってる? (゚ロ゚屮)屮

ゲームを置かせて戴いてるふりーむ!さんでは、あちらが実際にプレイしてスクショを撮って掲載してくれるのだけど、こんな感じ。

高校生の花子さん

私の環境だとこうなってる。

つまり、私のフォント指定が間違っているワケで。
ゲームファイル内に添付したフォントを指定したつもりが、指定されて無い状態ぽい。
こんな初歩的なミスを十数年も気付かなかったアホさ加減に我ながら悶絶。
リメイク学校七不思議公開前に気付けてまだ良かったとは言え、とほほ。

5と小学校と高校生の花子さんも同じマクロ使ってるから、そっちのファイル見直しをこの週末にやりたい。

ゲーム内テキストのフォントの確認だけでもお願い出来る方いらっしゃったら是非お声がけ下さい(TT)

「夢痕の城」再販

2016年ゲームマーケットにて発行したコピー誌のゲームブック「夢痕の城」を、電子書籍で再版しました。
ADV化を考えたくらい個人的にも気に入っている話なので、興味もたれた方は是非ー。

さて、これで一区切りついたので学校七不思議リメイクの制作に戻ろう。

カイルの小冒険45

館の外がこんなにも大変な事ばかりなのだとしみじみ思い返すと、カイルは何だか泣きたくなりました。
その様子を見た女の人の方が動揺しています。

「ちょっと、急に泣かないでよ、男の子でしょ?! ああもう、これじゃあたしが悪いヤツみたいじゃない!!」

ナイフを引っこめた女の人は、何故かぷりぷり怒りながら森の奥へと行ってしまいました。

黒猫と狼との追いかけっこの疲れも出て、カイルが半泣きで膝を抱えて蹲っていると、

「あなたも、森に捨てられたの?」

さっきとは別の女の子が、目の前に佇んでいました。

停滞中

最近、Twitterの方でちょろっと呟いたり絵を上げたり、としているので、気がつけばこちらを随分と放ったらかしで申し訳ない。

「アークサイド」、漫画版が停滞してるのは私のせいですが、小説&ゲーム版が停滞しているのはひとえに原作者のもののふ(仮)さんのせいなので、励ましのお便りを是非。

初期の頃に出来た全体像のプロットに基づいて序章&一章に伏線張りまくったのに、今になってそれが大幅な変更になりそうになって、原作者と制作者でやいやいしてます。
細かい台詞とか演出は自分だけど、大筋のストーリーや設定は原作者が動いてくれないと何ともはや。
未発表の外伝シナリオがあるのでそっちを先に動かすのもありだけど。

もののふ(仮)さんの設定は結構細かくて、

・マーヤ達魔道士(師)が炎などの魔法を使えるのは己の魔力であって、精霊を使役している訳では無い(精霊使いが別にいる)。
・「火炎魔法!」など技名を叫ぶのは気合いを入れてるだけなので声に出さなくても可。
・つまり、火の魔法なら「火炎魔法」であり、「強火炎魔法」「極火炎魔法」の様に一種の魔法に様々な技名があるわけではない。

などなど。
その内設定資料集をまとめねば…と思って十数年……(滝汗)

Rhapsody of the FEAR リメイク

Vet.3.00になりましたー。
この作品はシリーズの中でも特にお気に入りなので、例のシーンが描き直せて良かった。
後半の演出も色々追加されたりしてるので、昔プレイした方も是非よろしくお願いします。

カイルの小冒険44

散々走り回り、さしもの吸血鬼も息を切らせて立ち止まりました。
恐る恐る振り返りましたが、どうやら猫も狼もうまく撒けた様です。
カイルは安堵の息をつきました。

「あぁら、可愛いお坊ちゃま♪」

目の前の声に慌てて顔を上げると、白い刃が煌めきました。

「いい身なりですこと。哀れな貧民に、何か金目のものをお恵み下さいません?」

笑顔だけれど、目は笑っていません。
今夜会う女の人達って怖い人ばかりな気がします。

カイルの小冒険43

「じゃあ僕はこの辺で失礼します」

カイルは二頭に挨拶をして、くるりと背を向け、その場から走り出しました。

ところが、どうしたことか黒猫がついてくるではありませんか!
当然のなりゆきで、黒猫を追って狼までもが追いかけてきました!

子供とは言え、夜の吸血鬼です。
並の相手では追いつけない筈ですが、この二頭はタダモノでは無かったみたい。
余裕でついてきています。

「やっぱりおうちを出るんじゃ無かった…!」

今夜何度目かの後悔を噛みしめながら、カイルはひたすら森の中を駆け回りました。