日別アーカイブ: 2017/09/21

カイルの小冒険44

散々走り回り、さしもの吸血鬼も息を切らせて立ち止まりました。
恐る恐る振り返りましたが、どうやら猫も狼もうまく撒けた様です。
カイルは安堵の息をつきました。

「あぁら、可愛いお坊ちゃま♪」

目の前の声に慌てて顔を上げると、白い刃が煌めきました。

「いい身なりですこと。哀れな貧民に、何か金目のものをお恵み下さいません?」

笑顔だけれど、目は笑っていません。
今夜会う女の人達って怖い人ばかりな気がします。